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千座の置き戸 - 第八回 義理と人情-4/4

毎月 1日と15日に 塾HPに掲載しております。
千座の置き戸 8月1日に掲載したものはこちら 國體護持塾HP

こちらのブログには読み仮名を一部につ読み慣れた仮名遣いのものを転載いたします。

連載 千座の置き戸(ちくらのおきど)

           第八回 義理と人情

                    南出喜久治(平成26年8月1日記す)

をとこさび よわきしものを かかへこみ つよきにむかふ さだめはてなし
(男さび弱きし者を抱へ込み強きに向かふ宿命果てなし)


どうして格差拡大に拍車をかけているのかという理由は、簡単に説明できます。それは、レントシーキング(rent-seeking)の活動によって富の収奪が加速するからです。レントシーキングというのは、富裕層や大企業が政府や官僚に働きかけ、富裕層(大企業を含む)が自己に有利な法令を成立させ、産業振興などの産業政策の名目で、極めて安価にて国家財産(土地、鉱業権などの公共セクター)の払い下げを受け、又は、規制緩和による便益を優先的に受け、あるいは特例的な優遇(貿易、店舗展開、販売活動などについての有形無形の優遇)を受けるなどして、高い収益率や利益率を独占的に享有(きょうゆう)する大きな便益を政府からの「贈り物」として搾り取る活動のことです。

 歴史的に言えば、日本では三井、住友、三菱財閥など、韓国では現代グループなど、そして、アメリカではロックフェラーなど、いわゆる財閥はこのようなレントシーキング活動によって形成されました。一個人による努力や才覚だけで、ここまで大きくなれるはずがないのです。どこの国でも同じことです。インターネットが普及したことも、これにより最近になって急成長した企業なども例外なくこの恩恵(おんけい)を受けてきました。そして、政府の手厚い保護と援助で肥大化した企業グループは、自己増殖する性質がありますので、その活動の裾野が途方もなく広がります。中核企業の関連事業、そしてそのまた関連事業というように際限なく広がって巨大な企業グループが形成されて行きます。

 当然、成長産業である福祉産業などにも進出します。そうすると、政府の社会福祉政策を推進させるための部門にもこの関連企業が当然に指定席を占めます。要は、福祉政策だけに限らず全ての政策分野において、アメリカも支那も、東南アジア、アフリカなど、さらに、韓国でも日本でも、世界中がトリクルダウン理論に踊らされて、レントシーキングによるトリクルアップによって、国家予算から多くの利益を搾り取り、貧困層には予算が全部が行き渡らず、貧困層からピンハネする収奪(しゅうだつ)システムが確立しているのです。

 このようにして、いまや、マルクスのいう窮乏(きゅうぼう)化理論は現実的になってきました。共産主義の残党たちは、いまや革命を声高に叫ばず、資本主義的な経済論争の土俵に立って議論するという茶番劇を演じています。本心は、もっと格差が拡大し、革命の機会が出てくることを夢想(むそう)しているのかも知れませんが、面従腹背(めんじゅうふくはい)の鼻持ちならない輩(やから)であることに変わりはありません。

 いずれにせよ、世界的な傾向としては、トリクルダウン理論の信者たちによる政策が推進されることによって、中間層が没落して窮乏化し、今後ますます生活保護受給者が増大します。そのために、働く気力が失せ、物貰い生活にどっぷりと身を落とした「人間サファリパーク牧場」の住人を増やし、その住人たちを飼育する営利企業の管理費用や報酬が増えて、これによって一層利益を上げるという収奪システムが確立してきたのです。
 これは、世界的な傾向となり、今や、アフリカのナイジェリアが再び「奴隷海岸」といふ名称に変更されるのではないかとの懸念が現実味を帯びてきました。支那でも貧困層の不満がますます大きくなり革命前夜の様相になっています。これは、対岸の火事のごとく他国の話だと思ってなりません。

 我が国では、ある面においてもっと深刻な社会崩壊、国家崩壊の危機が迫っているからです。それは、格差拡大による貧困の深刻化、貧困、失業、若年層の未就労などによる新家族の形成不能と既存家族の崩壊、そして、家族の離散と崩壊を擁護する個人主義の徹底によって、「孤独」という新たな「貧困」が発生しているからです。

 このような時こそ、「侠」の意義を改めて噛めしめる必要があります。弱き者は貧者です。弱き者に寄り添い、大御宝(おおみたから)の生活を底上げする社会変革を「侠」に求める必要があります。
 理性の働きによる知識の習得だけでは、人類が再生しうる智恵が生まれません。本能の働きによる心と情を活性化すれば、人類が再生できる智恵と才覚が生まれます。

 いまや理性に由来する「義」や「義理」によっては社会変革のセル・モーターの役割は果たせません。人類に備はつた社会防衛本能から生まれる連携と秩序回復を目指す「人情」が世の中を救う原動力として、家族と社会の再構築が必要となってくるのです。
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