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千座の置き戸-第四回 軍隊と警察-1/3

塾HPに掲載しております 千座の置き戸 塾HP

こちらのブログには一部の漢字に読み仮名、慣れたかな遣いに変更したものを掲載しております。

連載 千座の置き戸(ちくらのおきど)

           第四回 軍隊と警察

                    南出喜久治(平成26年6月1日記す)

うなはらに すめのいはふね くだけちり のちをゆだねた ひとなわすれそ
(海原に皇軍の磐船砕け散り後世を委ねた人な忘れそ)

 昭和8年6月17日に、大阪市でゴーストップ事件という事件が起こりました。これは、軍服姿の陸軍一等兵が交差点で信号無視して横断したことに対して、そこに居た警察官が信号無視を指摘すると、軍人は警察官の指図を受けないなどとして悶着を起こし、これが陸軍と内務省との対立にまで発展した事件です。結果においては、お互いのメンツを立てた形で調停が成立しましたが、少なくとも平時においては、軍人といえども軍務以外のことについては交通整理をする警察官の指示に従うのは当然です。
 この事件は、軍隊と警察、つまり、国家権力における軍事力と警察力の違いとその権限分掌などについて問題を提起するものでしたが、それはあまり意識されないまま興味本位の話として語られるだけになってしまいました。

 ところで、我が国では、戦前においては軍隊と警察の区別はできていましたが、ポツダム宣言を受諾して武装解除され、占領憲法までが制定され、武装解除(戦力不保持)と交戦権の否認に至ったために、もし、この占領憲法が憲法として有効であるとすれば、軍隊は存在せず、勿論、自衛隊は「軍隊」ではなく「武装をした警察隊」という性質になってしまうのです。
 中共などには、「武装警察隊」というヌエのような組織がありますが、中共は法治国家ではありませんので、この実態と権限は「軍隊」ですが、法治国家である我が国の「武装警察隊」である自衛隊は、あくまでも「警察隊」なのです。

 自衛隊は、自衛隊法第89条は、治安出動時の権限に関して、警察官職務執行法第7条に定める「武器の使用制限」の規定を準用しています。警察官職務執行法第7条には、「警察官は、犯人の逮捕若しくは逃走の防止、自己若しくは他人に対する防護又は公務執行に対する抵抗の抑止のため必要であると認める相当な理由のある場合においては、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、武器を使用することができる。但し、刑法 (明治四十年法律第四十五号)第三十六条 (正当防衛)若しくは同法第三十七条 (緊急避難)に該当する場合又は左の各号の一に該当する場合を除いては、人に危害を与えてはならない。」とあり、自衛隊は、まさに警察官の武器使用の場合と同様に、積極攻撃はできないのです。

 これは当然のことで、昭和25年7月8日のマッカーサー指令によって、警察予備隊が創設され、それが名称を変えて現在の自衛隊となったのですから、自衛隊はあくまでもその法的性質は警察隊だということなのです。

 ところで、一般には、法治国家における軍隊と警察とは決定的に違う点があります。それは、まず、権限の範囲の決め方が正反対であることです。

つまり、

 軍隊はネガティブ・リスト
 警察はポジティブ・リスト

という方式によって権限の範囲が決定します。
 ネガティブ・リストとは、「原則としてすべて容認し、例外として禁止する事項を定める方式」ですから、例外的に軍隊として行ってはならない事項を定めて規制するのです。
 これに対し、ポジティブ・リストとは、「原則としてすべて禁止し、例外として許容する事項を定める方式」ですから、警察として行うことができる事項とその行使態様を網羅的に明確に列挙する方式です。
 たとえば、自動車の運転は原則として禁止されています。しかし、運転免許を取得したものは例外的に自動車の運転が許可されるという法制度になっています。ところが、殆どの人が運転免許を持っている現状では、原則と例外が逆転しているように感じますが、法制度においては、原則禁止・例外許容です。これを一般的禁止の解除という言葉で説明しますが、これもポジティブ・リスト方式の一例です。

 このように、軍隊と警察とはその権限規制の原理を異にしているのです。
 そして、軍隊が軍隊であることの所以は、このネガティブ・リストによって規律される、主として対外的に権限を行使する実力組織だからです。逆に言えば、ネガティブ・リストによって規律されない組織は軍隊ではないとも言えます。国外に派遣される実力組織であっても、ネガティブ・リストによって規律されないものは、「警察隊」なのです。
 警察の権限は、主として国内秩序の維持のためにあるもので、その行使の濫用を防ぐため、その職務権限として認められている事項以外は認められないとするポジティブ・リストによって規律されるのは、世界共通の法理といえます。
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