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千座の置き戸(ちくらのおきど)第三回 交戦権と自衛権-4/4

こちらのブログには 一部に読み仮名をつけ、仮名遣いを変えた文章を載せさせていただいています。
元の文章はこちら 國體護持塾 HP

連載 千座の置き戸(ちくらのおきど)

              第三回 交戦権と自衛権

                    南出喜久治(平成二十六年五月十五日記す)

たたかひを ゆるしあたはぬ いくさびと やたのからすも かかしとまがふ
(戦争を許し能はぬ軍人(交戦権なき自衛隊)八咫の烏も案山子と紛ふ)

そして、時代は下って、アメリカが全米を覇権下に置くことになったチャプルテベック決議(昭和20年3月)を契機として再び注目されることになりました。それは、国際連合憲章の原案では、集団的自衞権の行使は安全保障理事会の許可が必要となっていたことから、ソ連の拒否権発動を懸念して、国際連合憲章の本文に集団的自衞権の条項を入れることになったからです(第51条)。つまり、個別的及び集団的自衞権の行使については安保理に対する事後の報告事項とし、事前の承認事項ないしは許可事項としなかったのです。このようにして、集団的自衛権は、国際連合憲章(条約)の効果として誕生した条約上の権利であって、決して自然権でないことが解るはずです。

 もし、自然権の概念を持ち出して議論するのであれば、「正当防衛」という自然権を議論すべきです。正当防衛とは、急迫不正の侵害に対し、自分または他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為を合法とするもので、これは国際法上も昔から認められた普遍的な理論です。正当防衛が認められるときは、犯罪が成立せず、これによって他人の権利を侵害しても損害賠償責任を負わないとする理論です。
 正当防衛には、自己の権利を防衛するための「自己正当防衛」と、他人の権利を防衛するための「他人正当防衛」とがあり、個別的自衛権は自己正当防衛に、集団的自衛権は他人正当防衛に対応するという関係にあります。

 また、正当防衛とともに、急迫不正の侵害に対して、反撃的な防御をするのではなく、その危難を避けるためにやむなく他人の法益を侵害する結果を招くこととも「緊急避難」として認められ、合法化されているのです。

 このことを踏まえて、もう少し具体的に言えば、自衛権の行使については、第一に、自衛隊法第88条の防衛出動では、「合理的に必要とされる限度をこえてはならない」とされ、第二に、同法第89条の治安出動でも警察官職務執行法第7条(武器の使用)の制限として規定されている刑法の正当防衛又は緊急避難の要件に基づくことになっていますので、自衛権の行使は、「正当防衛」及び「緊急避難」が成立するための他国による「急迫不正の侵害」がなされる時に限定され、その防衛と避難の程度の相当性を満たさなければならないという厳格な要件が求められているのです。ところが、このような限定のない権限が「交戦権」(戦争権限)ですから、交戦権はネガティブ・リスト、自衛権はポジティブ・リストによる権限としての決定的な相違があり、両者は明確に峻別(しゅんべつ)されています。

 ですから、交戦権のない自衛権しか認められていない我が国では、自衛隊は、交戦権が認められない武力組織として、どのような場合に武器使用ができるかというポジティブ・リストの法制によって規制されているのです。決して、交戦権が認められている「軍隊」ではないのです。「軍隊」であれば、その軍隊の権限に関しては、これだけは行ってはならないという項目を列挙したネガティブ・リストを定める法制にはなっているのですが、軍隊ではない自衛隊は、ネガティブ・リストを定める法制ではなく、これしか行う権限はないとするポジティブ・リストを定める法制になっているのです。このことこそは、自衛隊が国際法的に軍隊ではないということの証左と言えます。

 このようなことからすると、我が国において、占領憲法が憲法であるとする立場であれば、個別的自衛権と集団的自衛権という二分法によるのではなく、急迫不正の侵害に対しする自己正当防衛と他人正当防衛ないしは緊急避難という区分で「防衛権」の態様を考察すべきです。そうすると、今議論されている集団的自衛権の限定的な具体的態様は、殆どがこの他人正当防衛に関するものですから、その要件が満たされる限り認められるものなので、わざわざ集団的自衛権という概念を持ち出す必要はないのです。

 また、喫緊(きっきん)の課題である尖閣諸島の防衛の見地からすると、有事の際は米軍側の集団的自衛権を確実に行使させ、我が国の個別的自衛権を強化することにあるのであって、我が国側の集団的自衛権にまで手が回る状況ではありません。
 つまり、中共が尖閣を武力占領して終えば、交戦権のない自衛権では奪還戦争はできませんので、そのときは、アメリカの集団的自衛権の行使に頼らざるをえません。しかし、アメリカの戦争権限(交戦権)は大統領と連邦議会とが分有しているので、尖閣が中共によって侵略された場合に、アメリカ連邦議会が集団的自衛権を発動するか否かは不明です。日米安保の守備領域に尖閣が含まれることは確かですが、そのことと、アメリカが、米国債を我が国以上に保有している中共に対して、必ず軍事行動を行うか否かは、その都度において大統領と連邦議会の判断に委ねられるのです。

 ましてや、中共軍が直接的に武力占領するという単純なことはしません。初めは武装難民(漁民)によって尖閣に上陸占有させ、その難民(漁民)救済の目的で中共軍が尖閣に上陸して武力占領を継続するいう二段構えの作戦をとりますので、難民を装う集団に対して自衛隊はその阻止のため出動はできません。ましてや、その難民(漁民)救済の名目で出動する中共軍の行為は、急迫不正の侵害には当たらないので、ここでも自衛隊は出動できません。残念なことに、占領憲法を憲法とする限り、自衛隊は張り子の虎であり、案山子(かかし)なのです。

 私は、このようなことをこれからもできる限り平易にこの連載で語り続けて行きます。傲慢で陰湿な左翼集団である弁護士会と対決する立場をとり、専門家階級集団に属してをらず、これに属することを峻拒する私は、今後も「恐るべき素人」として、「憲法解釈を我々の手に取り戻そう」という言論活動を続けて発信して行きますので、よろしくご協力とご支援のほどお願いする次第です。
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