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第五十五回 家産と貨幣経済(その二) -1/2

毎月1日に塾HPに掲載しています、青少年のための連載講座
こちらのブログには本日と明日にて慣れた占領かな使いの物を掲載いたします。

元の文章はこちら
(青少年のための連載講座) 祭祀の道55

           第五十五回 家産と貨幣経済(その二)

                    南出喜久治
                    平成二十五年十一月一日記す

かてともの おかみがつくり ださずして うちでのこづち ふるふはなどて(食料と商品政府が作り出さずして打出の小槌(通貨発行権)振るふ(行使する)のは何どて)

 食料や商品などの物資に価値があるというのは、それを使用したり消費したりできるからで、そのことは他人の誰であっても同じですから、他人の持っているものと自分の持っているものとを交換したりするのです。これを難しく言えば、使用価値と交換価値と言います。だから、この双方が備わっているのが物資の持っている本質的な性質なのです。

 ところが、通貨はそうではありません。交換価値しかないからです。もう少し厳密に言えば、使用価値がないものは、これがあることを前提とする交換価値はないことになりますから、通貨には交換価値すらないのです。ところが、これに交換価値があると信じられているのが現代です。

 享保の大飢饉(1732+660)のときに、百両の大金を首からぶら下げたまま餓死した商人が居たと報告されています。飢饉のときは、食料がないのですから、いくら百両もの大金があっても、これで買える食料がありません。ましてや、貧しい人達に冷淡であった強欲な商人には、こんなとき誰も率先して食べ物を売ったりはしません。だから餓死してしまったのです。
 もし、小判に食料としての使用価値があれば、つまり、小判を食べて餓えを凌げるのなら餓死しませんが、小判は食べ物ではありません。小判は金貨ですから、これに含有している金(gold)を取り出して、金箔などに使う使用価値はあっても、餓えを凌げる代物ではありません。
 このことは、現代の通貨の場合でも同じです。食料が手に入らない状況になれば、金属で造られた鋳造貨幣は勿論のこと、紙幣でも食べられるものではありません。山羊でも食べないでしょう。「いざとなったら」紙くず同然になります。ところが、「いざとなったら」という時に備えて、通貨を貯め込むのが現代人です。特に、流通経済が全国隈無く発達している我が国では、通貨貯蓄率が高いのです。シベリアなどで生活する人達は、家に食料の缶詰を貯め込みます。通貨を貯め込んでも雪と氷に閉ざされれば、食料の買出しにも行けなくなるからです。だから、「金持ち」ではなく「缶詰持ち」が豊かな家族なのです。「いざとなったら」のために、通貨ではなく食料を貯めるのが健全な危機意識のある人間なのですが、現実はそうではないのです。

 これほど不思議なことはありません。通貨の価値は幻想であることに気付かないのです。こんな幻想の上に立って経済を語ることは、危機に対応できる経済学ではありません。

 パブロフの条件反射ということを聞いたことがあるでしょう。条件反射とは、動物において、訓練、学習、経験によって後天的に得られる反射行動のことですが、ソ連のイワン・パブロフが犬を使った実験で発見したものです。ベルを鳴らしてから犬に餌を与へることを何度も訓練して学習させると、そのうち、ベルが鳴っただけで、餌が出てこなくても犬は唾液を分泌することになるのです。

 これと同じで、通貨は幻想なのに、通貨を見ると(ベルがなると)それに価値があると認識する(唾液が分泌する)のです。価値があると幻想するのが、その通貨圈で生活する全員が陥ってしまうと、集団ヒステリーのように、本来は価値がないものを価値があるとする共同幻想空間で暮らすことになるのです。

 ところが、いざとなったとき(災害、飢饉、戦争などのとき)それがバーチャル(幻想)であると思い知らされます。

 第一次世界大戦後のドイツで、パン1個が1兆マルクとなるほどのハイパワーインフレになったとき、ある二人の兄弟の話を聞いたことがありました。それは、兄は勤勉で、コツコツと貯金し質素倹約の生活を兄の家族はしていましたが、これと対照的に、弟は一人暮らしで、その日の稼ぎをすべて酒代にし、その日暮らしの飲んだくれ生活をし、家には呑み干した後のビール瓶をため込んで、そのために寝る場所もないような自堕落な生活をしていました。ところが、そこにあのハイパワーインフレが襲ってきました。すると、兄の貯金は紙くず同然になって生活に困りましたが、弟は、ため込んだビール瓶を再生用に売り渡して巨万の富を得たという話です。
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