スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

真正護憲論の概説=憲法有効論の誤り2/2

 3 後発的有効説
 次は、後発的有効説です。これには、①追認有効説、②法定追認有効説、③既成事実有効説、④定着有効説、⑤時効有効説などがあります。
 ①の追認有効説と②の法定追認有効説は、いずれも、無効の憲法が事後において追認がなされ、あるいは追認とみなされる事実があれば有効になるとする見解です。この見解は、追認に関する民法理論を借用してくるのですが、そうであれば、公序良俗に反することによって無効な行為を追認することはできないとする民法理論も借用しなければなりません。民法第90条には、「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。」とあります。もし、公序良俗に反する行為、たとえば、人を殺した上、遺族に対し、その殺人行為が正しかったと認めさせ、逆に、遺族に詫び証文を書かせるという行為(占領憲法制定過程)は公序良俗に違反して無効ですが、もし、この無効であるはずの行為を事後に追認すれば有効になって犯罪とならなくなるとするのであれば、この行為を無効とした制度趣旨が否定されてしまうからです。
 また、仮に、追認が可能であるとしても、追認の主体、方法、時期などに関して大きな問題があります。
 追認の主体に関しては、占領憲法体制の機関において追認したとしても、それでは追認にはなりません。帝国憲法体制に原状回復してからでないと追認することはできないのです。強迫されて売却させられた財産の被害者が、加害者に対して、その行為を許して追認すれば、加害者はその財産を確定的に取得できます。しかし、そうではなく、加害者が、被害者に向かって、「これは俺の物だ」と宣言したり、その物に自分が所有者であるとして名前を書き入れたとしても、それは追認にはなりません。加害者側の占領憲法体制の機関による表明(国会決議、国民投票など)は、追認とは言えないのです。
 次に、追認の方法ですが、追認は、取消しうべき行為と同等の行為と手続によってなされるものです。つまり、帝国憲法改正行為を追認するためには、これと同じ手続によって為されなければなりません。これまで、帝国憲法改正手続と同様の手続によって追認手続がなされたことはないのです。
 さらに、追認の時期について言えば、民法第124条第1項には、「追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅した後にしなければ、その効力を生じない。」とありますから、未だにその追認をなしうる時期には至っていないことになります。昭和21年12月1日にGHQの指令に基づいて結成された「憲法普及会」は、国家予算を使って官民総動員によって全国的な大洗脳運動を展開しました。これは、占領憲法を絶賛する「新しい憲法 明るい生活」という家庭向けの小冊子を二千万部を発行して全国の家庭に各戸配布し、その他にも、13種類もの出版物の発行、「憲法音頭」などの楽曲による普及、「新憲法いろはかるた」の発行、「新憲法の成立」などの多くの映画の製作と上映、国家公務員と地方公務員に対する強制的な憲法研修会の継続的な実施、懸賞論文募集など、ありとあらゆる生活事象において、占領憲法が正しく素晴らしいものであることを徹底的に刷り込ませた大々的なものでした。この洗脳の第一世代から第二世代、第三世代へと洗脳状態が受け継がれて今日に至ります。この洗脳を解くためには、政府の手で、占領憲法制定の詳細な事実経緯を明らかにした上で、占領憲法に関する効力論争の詳細を記載した政府刊行物を各家庭に配布して周知させ、これらを教科書に記載させた憲法教育を実施するなど、憲法普及会による洗脳を解く措置を充分に講じた上でなければ、追認をしうる時期について語ることはできないのです。
 また、③の既成事実有効説、④の定着有効説、⑤の時効有効説も、①追認有効説や②法定追認有効説と類似した見解です。③の既成事実有効説は、仮に、占領憲法が無効であっても、その後に占領憲法に基づいて法律が制定されてきたという「既成事実」が形成され、その事実を以て有効となったことの根拠とする見解です。また、④の定着説は、世論調査などからして占領憲法が国民の意識の中に国民の憲法として「定着」したことを有効となった根拠とする見解です。そして、⑤の時効有効説は、時間の経過が有効となる根拠であるとする見解です。しかし、これらは、簡単に言えば、革命有効説のような、急激な革命としては認められないが、じわじわと長い時間が経過して事実を積み上げて行けば、事後的に革命を認めるということなのです。一度に致死量の毒で殺してしまうのは犯罪だが、少しずつ毒を与えて判らないうちに殺してしまうのは犯罪でないということと同じです。
 しかも、⑤の時効有効説は、そもそも時効の意味が解っていません。特に、物質(モノ)の権利の得(とく)喪(そう)に関する時効と、規範(ノリ)の得喪に関する時効との区別、公法の時効と私法の時効との区別、消滅時効と取得時効との区別を無視して、私法の取得時効に関する規定をそのまま適用しようとするのは余りにも乱暴な議論です。


関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。